JR九州KDS
 

HP式レールボンドのメンテナンス

1. HPボンドの剥離

レールの強烈な列車振動を受けて、レールボンドは次第に破壊が進んでいきますが、HP式レールボンドの場合は、はんだ溶着面の剥離として現れてきます。

直流用ボンドの場合は、素線側から剥離が入り、次第に先端側に剥離が進行していきます(図1)。また、交流用ボンドの場合は、最初に溶着面の四隅に剥離が入り、次第に楕円状に剥離が進行していきます(図2)。共に、80%程度剥離が進行したところで脱落に至ります。

剥離が進行するには相当時間*1を要しますので、剥離が入ったことが検査等で発見できれば脱落の回避が可能になると考えています。

*1: 1.2~1.8万Gの振動加速度条件で、20%剥離進行するのに約60万回の打撃回数(経験値) ≒ 通貨トン数年間2,000万トンの路線で約4か月に相当

HPボンド(直流用)剥離パターン

図1.HPボンド(直流用)剥離パターン

HPボンド(交流用)剥離パターン

図2.HPボンド(交流用)剥離パターン

2. 剥離の確認

ボンドに剥離が進行していることは、図3に示す方法等により確認できますが、しかし、全ての項目が全てのボンドに当てはまる訳ではないようです(現在検証中です。)。

剥離検知方法

図3.剥離検知方法

3. 打音検査器の開発

メンテナンスを行う上で、剥離の確認は重要な事項です。このため官能的な検査方法ではなく定量的な検査方法が必要と考え、福岡県工業技術センター機械電子研究所殿、株式会社新日本非破壊検査殿と共同で検査方法について研究を進めております。

図3の打音の違いに着目し、打音波形解析により剥離進行ボンドの打音の特徴を捕まえました。これにより95%の確率で剥離を検知できることを確認しています。現在はプロトタイプ試作機ですが、早期に製品化を目指していきます(図4、図5)。

打音波形解析結果(波形特徴)

図4.打音波形解析結果(波形特徴)

プロトタイプ試作機

図5.プロトタイプ試作機

4.メンテナンスへの取り組み

超耐久のボンドであっても、脱落が予見できなければ予防保全が困難となりますし、システムの安定稼働も困難となります。

当社は、製品技術、施工技術、メンテナンス技術をトータルでご提供することで、軌道回路の安定稼働と経済性を追求していきたいと考えています。

Choose a language