JR九州KDS
 

レールの特性(組織変成)

レールメッキの特性を理解するためには、レールの特性の一つである組織変成について理解しておくことが必要です。

1. レールは炭素鋼

レールは炭素含有量が0.8~1.0%程度の炭素鋼に分類されます。炭素鋼は温度によりその組織が変化していきます。常温では柔らかいフェライトと呼ばれる組織の中にセメンタイトと呼ばれる固い組織が層状に分布するパーライトと呼ばれる組織となっています。パーライトは粘りある強靭な組織となっています。温度が上がり変態点(723℃)を超えるとパーライト組織はオーステナイトと呼ばれる組織に変わります。オーステナイト組織は非常に延展性のある組織です。加治屋さんが鉄を赤く焼いて、叩いて延ばして刃物等に成形するのはこの組織の所以です。

このオーステナイト組織領域の温度からゆっくり冷却(徐冷)して変態点温度を下回ると元のパーライト組織に戻るのですが、急冷するとセメンタイト組織が層状に析出できず、組織一面に散らばった状態で析出したマルテンサイトと呼ばれる組織になってしまいます。この組織は非常に硬くて脆い性質があります。刃物や日本刀などはこの組織で作られます。

炭素鋼の組織変化

炭素鋼の組織変化

炭素鋼の状態図

炭素鋼の状態図

2. レールは熱を嫌う

ところで、レールの中にこのマルテンサイト組織が発生すると、この部分からレールが破壊してしまう危険性があります。実際、過去には、マルテンサイト組織発生によるレール破断が発生しています。

従って、鉄道用レールにあっては、炭素鋼の変態点温度を超えることは危険を伴うため、慎重に施工を規定し適用範囲も限定されています。

 

ところで、レールには色々な種類があります。

大きさによる種類では、60kレール、50kレール(規格が数種類)、40kレール、37kレール、30kレール等々です(60kレールとは、1m当りの重量が60kgであることを示しています)。

更に、熱処理レール(HHレール)があります。これはレール頭部を熱処理によって硬度を上げたレールです(レール摩耗を低減しようとするものです。)。

熱処理レールや小型レール(40kレール以下)では加熱等による熱影響が悪影響を及ぼす可能性が高くなります。

Choose a language