レールめっきとは

1. レールめっきとは?

軌道回路における列車検知不良の対策として、国鉄時代から採用されている工法の一つです。

接触型検知システムでは、列車検知不良の原因の一つとしてレールの錆が挙げられます。レールに発生する錆は電気伝導率が低いため、車輪踏面とレールとの間の電気抵抗値が大きくなり軌道回路電流を完全に遮断することが困難となり、その結果列車検知不良が発生してしまうことになります。

このため、レール頭部に導電率の高い金属を溶着し、車輪踏面接触部分のレールの錆(鉄錆)発生を防ぐ方法が考案されました。古くは、直接レール頭部に金属を薄く溶着していましたので、この工法をレールめっき工法と呼んでいます(正確にはめっきではなく溶着工法ですが。)。

2. レールめっき工法の変遷

古くは、直接レール頭部に金属を溶着していましたが、車輪踏面とレールとの間に異物が入ることによる列車への衝撃や異音が生じたり、摩擦により溶着した金属が剥がれてしまう不具合がありました。(車輪踏面とレールとの接触は滑らかで、少しの異物でも衝撃と異音が発生します。)

これらの不具合を解消するために、レールに溝を切削しその溝に金属を溶着する工法が考案されました。国鉄時代に開発されたこの工法では、溶着する金属として黄銅ろうが使用され、現在に至っています。

しかし、黄銅ろう溶着工法には種々の制約があるため、施工可能なレールの種別や適用範囲が限られています。

そして、当社が、黄銅ろう溶着工法での制約を取り払うために開発したのが銀ろう溶着工法です。

3.銀ろう溶着工法開発経緯

レールめっきの技術は、どちらかというと冶金や溶接分野に属します。当社の主体である信号工事業とはかけ離れていますが、会社経歴の中で一時期レール溶接工事やレールめっき工事を経験したことに因ります。その後レール溶接工事からは撤退しましたが、そこで培われた技術、技能が銀ろう溶着工法開発の基礎となりました。

それまでの黄銅ろう溶着工法の改良を目的として平成17年から開発に着手し、黄銅ろう溶着工法の最大の課題であるレールへの熱影響を、銀ろうを使用することで解消に成功しました。

更に工法の改良を進めて、平成19年にはJR東日本殿で「信号設備設計施工標準」に追加承認され、正式に採用となりました。

レールへの熱影響の排除に関して様々な工夫を行っていますが、これらの技術は冶金や溶接の技術なしでは成し得なかったことです。また、開発に際しては、日鉄住金テクノロジー㈱(当時の㈱九州テクノリサーチ)殿のご指導を頂きながら開発したものです。

銀ろう溶着工法

メッキ(仕上げ解説入り)
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